りんごの芯

思いついた事感じた事を言葉に ショートストーリーにしています。

タバコと恋と自分のこと

タバコの火は1年閉じ込めた思い出を引き連れて
私の目の前で真っ赤に光る

タバコを吸い公園へ自転車を向けた
一緒に走るカップルを見てまた記憶が蘇る

淡く儚かった恋と幸せと悲しみを連れてきた恋の記憶が
体に残るタバコの匂いとともに蘇る

少し肌寒い風は恋の終りを告げているようで
どこか寂しげで体温を奪う

同時に鼻に届くタバコの匂いと柔軟剤の匂いが
彼と私を表しているようでまた悲しくなる

さっき全速力で走り去った男の子が歩きながらわたしの前をゆく
子供っぽくてふわりと心が暖かくなる

カップル、仲良さげなおばさん2人、体型が気になるおじさん、とランナーを見送るとさっきの男の子が来た
彼はもう全速力でも歩いてもなかった
自分のペースを見つけ走っていた

私はずっと全速力で走っていた
歩いてもまだまだと走り始めていた
そりゃ疲れるよな……

ランニングは自分の限界がわかる
生きていくペースは限界が分からない
だからこそ慎重になるべきだったのだ

支えがない時に思いっきり倒れてしまっては
起き上がるのに時間がかかるのは当たり前

タバコの匂いが連れてきた二つの恋は
私にとって倒れてもいい時だったのだろう

なんでも大切なことはあとから気づく
だから人間はもう後悔するまいと成長するのだろう