りんごの芯

思いついた事感じた事を言葉に ショートストーリーにしています。

真夜中のさんぽ

眠いのに
なんだか抗いたくて
結局寝れなくなったそんな真夜中

お腹がぐーとなり
あぁ生きてるんだなと思いながら
いろんな動画を見る
もちろん食べ物の

いろんな人がいろんな食べ物をたべている
唐揚げ ピザ ドーナツ アイス ケーキ
そんなカロリーの高いものこそ
人に必要な至福なのかもしれない

そんなこと思ってもお腹は満たされない
紺色に輝く空を見つめ
紺色のTシャツに着替え
黒いクライミングパンツを穿く
紺色の帽子をかぶり
深緑に白のマークが入ったスニーカーに足を入れる

キーケースをわすれて靴のまま家に上がる
マナー違反は時に心躍る……そんな瞬間を楽しみ
キーケースと財布を手に外に出る
しっかり鍵をかけ そっと眠らない部屋を後にする

スーパーまでキコキコ自転車を漕ぐ
シーンと静まった道路
にゃーにゃーと聞こえる子猫の声
律儀に仕事をこなす信号機
それを律儀に守る私

スーパーに入ると大きなワゴンを押し
大きなあくびをしながら働く店員さん
ここにも寝れない人たちがいた
独りじゃないと安堵した
そしたらもっとお腹が減った

よし、ここは
食べたいものを食べようと心に誓い
ばっさばっさとカゴに高カロリーで身体に悪そうなものを詰める 詰める 詰める

もう手がつけられないほどの食欲と
もうどうしようもないほどの後悔が
押し寄せてきた
だけれども私は負けずに詰める

心が満たされて
レジに向かった
レジにはボタンだけあり誰もいなかった

ファミレスで人を呼ぶようにボタンをポチ。
……。
もう一度ポチリ。
……。
まだまだとポチリ。
……。
誰も来ない

うーんこのままレジ抜けてやろうか
と思いながらも
ポチリ
……。

これが最後だぞと思ってポチリ
……。
2連打してやろうポチリポチリ
タッタッテトテト……
鈍くてだるそうな足音が聞こえてきた

お金を払えることにホッとして
リズムよくレジを通っていく物たちを見つめる
ピッピッ……ピッ……ピッピッ……ピッピッピッ
カードをカチャリとトレーに置き
一括で済ませる

もうこれらは私のものだ!
と心で叫びながら袋に詰める
あ、買いすぎた……なんて後悔してない……

だいぶ明るくなった空にちくしょーと叫んだ
私の寝れない夜は明けようとしていた
寝れない私は昨日に置いていかれた

真夜中の散歩が早朝の散歩になった