りんごの芯

思いついた事感じた事を言葉に ショートストーリーにしています。

息子2

暑さを乗りきって家に着いた

もちろんケーキも無事だ

 

きょうはもう執筆は諦めた

ずいぶん久しぶりに包丁を持った

さてさて、子供が好きなメニューってなんだろな

なんて思いながら

私の実家の誕生日の定番だったご飯を用意するつもりだ

チューリップ唐揚げとちらし寿司とお吸い物

そしてサラダ

 

トントントンと久々にしては鈍ってない腕に感動しながら

鼻歌を歌いながら作り続けた

 

作り終えたら少し寝ようかなと思っていたら

カチャリとドアの開く音がした

はっと時計を見ると7時…腕は鈍ってなかったが行動は鈍くなっていたようだ…

彼が仕事から帰ってきた

 

「お、いい匂いがするね、そっかお祝いメニューか!」

彼にとっても息子にとっても毎年同じメニューだからお祝いメニューと名が付いた

 

「お疲れ様、今日はケーキもあるから!」

「そっか!チョコケーキとショートケーキとザッハっトルテかえた?」

彼はもう分かっている

 

「ゲット出来たけど片道5分が溶けるほど暑かったよー」

「それ去年も言ってたね」

そう、彼はもう飽きている

「まぁいいから食べよう、疲れてるし」

と言うとさっさと食べて例年通りチョコケーキを食べザハットルテを半分残してお皿を片付けにたった

 

彼はお皿を洗いながら慎重に言葉を選びながら

「なぁもう終わりにしないか 君の息子は生まれることなく、おろされたんだろ これから生まれるこのためにも もう過去の話にしよう」

と言った

 

息子をおろしてもう5年も経ったのか

そして私は息子を失った時と同じ7週の子がお腹にいる

次に向かうべきなのだろう

 

暗い顔をしている彼の背中に

ありがとうと言い半分のザッハットルテを静かに食べた